Thursday, September 30, 2010

誉田君 その2

今回のリサイタルツアーの大館公演、山形公演では、3月のブログに登場した誉田君の器の大きさに救われてました。前回も書いたけど、彼は弟のようでありながら、実は俺の兄なのではと思わせる、クールに落ち着いた、それでいて温かい人です。

そんな誉田君、最近ウェブサイトを立ち上げたので、皆さんにご紹介させてください。

http://hiroyahondamarimba.weebly.com/

今どきの手作りウェブサイトはここまで美しくなるのですね。俺がウェブサイトを立ち上げた2005年の秋頃は、手作りではこんなにかっこよくできませんでした。

というか、俺が不器用すぎるのかな・・・

誉田君は今、宮城県をベースに東北でソロや室内楽等の演奏活動をしています。彼は俺には持っていない色彩感と、大きな愛で :)、演奏を聴かせてくれます。お近くの方は是非彼の演奏会に足を運んでください。

そしてこれは前回も書きましたが、彼、マレットのまき直しがかなり上手なんです。俺のマレットのまき直しはすべて彼が手がけてますし、むしろ彼がまき直してくれたものでないと何だか演奏する気にならない、とまで思ってしまうほどです。欲しい音、音色に応じて、まき方の微妙な強さ加減や毛糸の種類もしっかり考えて巻いてくれます。(だよね、誉田君?)
ウェブサイトに連絡先が書いてあるようなので、入用の方は是非ご利用ください。


P.S.「誉田君」というタイトルでシリーズものにしたくなってます。

Tuesday, September 28, 2010

感謝、そして目に見えない力

9月がようやく終わりに差し掛かった。今月頭から、京都、秋田、大館でのリサイタルツアーをさせていただいたのだが、7月、8月に自分は立ち止って考えていた分、9月は頭から全力で突っ走った感がある。

今日は今回の共演者であったAndrey君を成田空港で見届け、僕のリサイタルツアーにやっと終止符を打てた。彼が無事にデトモルトに帰り着くことを願いつつ、こうしてブログに来た。

実は今年4月の終わりから、左手首に今まで味わったことのない痛みを感じ始めていた。だが生活が出来なくなるという理由で治療のために演奏活動を止めるわけにはいかず、引き続き練習や演奏、そして楽器の移動を繰り返しながら、その症状を悪化させ、9年分の荷物をまとめなくてはいけなかったアメリカの引っ越し、そしてその引っ越しの疲れを引きずったままに迎えた7月頭のZMFの演奏で、その演奏の次の日から手首が回せない、さらにはマレットも握れない状態にまで悪化した。日本に帰国後、それが腱鞘炎と分かり治療を進めていたものの、中々治りが感じられず不安を感じていた最中、とある人の紹介で鍼治療の先生を勧められた。その先生のお力はもちろん、9月のリサイタルツアーに関与してくださった沢山の方の思いと優しさで、8月の最後の週あたりから何とか5,6時間練習できるほどまで回復した。

今まで腱鞘炎になった人を何度か見てきたし、僕が昨年度教えていたデトモルト音楽院の生徒でも手の痛みで悩んでいる子が数人いた。ただ、自分は腱鞘炎というものを患っていなかったので、その人たちの本当の痛みが分からなかったが、これで十分に理解できた気がするし、これからももっと深いレベルで分かってあげられる気がする。最初は腱鞘炎を患ったことを悔やんでいたが、今振り返るととてもいい勉強だったし、自分の身を削って自分の出来る精いっぱいの音楽を演奏してきたからこその証なのかもしれない、とそう感じられるようになった。(物事はプラスに考えれば、プラスなんですよね:)

その腱鞘炎のこともあり、「リサイタルのために精いっぱいの準備ができていないのではないか」、「この手が悪化したらどうなるのか」など色々な不安を抱えつつ、その中で共演者を迎え、そして短い期間でのリハーサルでまとめ上げて本番をするというのは、精神的にも体力的にも相当にきつかった。今回の共演者は、僕が彼のピアノの音色に衝撃と感動を覚え(本当は彼、マリンバ専攻生ですが)、招へいすることにしたのだが、実は僕とは全く違う頭脳派の中々の強者で、覚悟はしていたがリハーサルでは音で言い合いになったり、時には言葉でも言い合いになったり、本番直前までどうなるのか、どうしたらいいのか分からず頭の中はめちゃくちゃな状態だったこともあった。でも沢山の方が僕らの演奏に対して純粋に抱いてくださっていた「いい演奏会になりますように」というそういう思いの力と、演奏を楽しみにしてくださっているお客さんの力で、僕もAndrey君もかなり救われ、そしてどの3公演もリハーサルよりとは比べ物にならないくらいお互いを信じ、聴き合うことができ、出来る限りお互いを尊重し合えることができ、反省点はあるものの、お客さんに喜んでもらえるものが出来たのかなと終演の拍手、そして直にお客さんとお話しすることで感じさせていただいた。そして演奏を重ねていくたびに、落ち着いて色々なことを考えることができたし、2人で話し合いもできたし、少しずつAndrey君のことも理解しながら、音も近づけていけた。

そして今回のリサイタルツアーを進めていく中で、自分の周りで色々と働いている目に見えない力も感じた。でもそれは「自分がこれからも沢山の人の幸せを願いながら音楽を通してより多くの方の生活に少しだけ風を吹きかけたい」という想いを、マリンバという楽器を通して音にしていくため音楽を続けていくことが自分の道なのかもしれない、とそう思わせるものであった。

今回も沢山の出会い、そして優しさに触れたが、まだまだ十分なお礼が出来ておらず、申し訳ありません。この場を借りて、ひとまずお礼を申し上げたいと思います。

本当に、本当に、本当にありがとうございました。

(メールを送ってくださった方には、これからゆっくり返信いたしますのでお待ちください。)