Tuesday, October 14, 2014

夏の思い出

僕がドイツに戻ってきてから2週間がたちましたが、こちらはすっかり秋です。僕はとてつもない田舎の村のようなところに住んでいまして、家の側に森があるのですが、その森も色付き始め、紅葉のシーズンが到来していることを感じております。

ただ、花粉症の症状で凄いことになっちゃうので、その森を散歩してみたり、ジョギングしたり出来ず、更には近づくことすら許されません。

さてさて、7月12日の東京公演からすっかりご無沙汰してしまいましたが、ここに来て夏の思い出を語りたい気持ちになったので、気ままに綴ろうと思います。


まずは、7月22日から27日まで秋田県大館市で開催した、ゼルツマン・マリンバ・フェスティバル・オン・ツアー・ジャパン。

これは前回のブログでも触れましたが、本当に本当に準備が大変でした。特に昨年の暮れの頃から、受講生が集まるかどうか、そして経済的な面でやりくりできるのかどうかの不安に加え、このフェスティバルを開催することにより、自分の身の回りの事が大きく動いたりすることで、気持ちが大きく動揺し、楽器に向かう事も出来なかったり、ちょっとだけ投げ出したくなったりしていました。

家族にも相当の負担になっていたみたいで、母も調子が悪い日が続いていたり。。。本当に申し訳なく思いながら、開催までの日を過ごしていました。

でも、講師のナンシー、ジャック、マイク、奈々さん、そしてスタッフ・通訳の華さん、誉田君、麻子さま雅子さまが大館に到着し、そして受講生が大館に到着し、フェスティバル開催日初日から、不安や動揺した気持ちが一気になくなっていくのが分かりました。それは母も同じだったと言っています。ゼルツマン・マリンバ・フェスティバル(Zeltsman Marimba Festival)は略してZMFとなるのですが、その「F」は「Family」の「F」だと数年前にナンシーに言ったことがあります。またしてもそのゼルツマン・マリンバ・ファミリーに救われた感じです。

フェスティバルは本当に本当に楽しく、フェスティバル期間中の交流会は1時間半で予定していたのに、気が付けば3時間もみんなと一緒にわいわいし、最終日のパーティーは予定していた終了時間を大幅に過ぎて、ホテルの方に「そろそろバーを閉めたいのですが・・・」と言われて気が付けば23時半。最後の最後まで別れを惜しんだ、ゼルツマン・マリンバ・ファミリー・オン・ツアー・ジャパンとなりました。

講師や、スタッフのサポートには本当に感謝していますし、受講を決断してくれた受講生の皆さんには、心から感謝するとともに、新しい出会いにも感謝です。




1枚目は、フェスティバル最終日の午前中、講師とスタッフは時間があったので、狭い我が家に来てくれた時の写真です。父は恥ずかしがり屋なので、みんなが来てくれた時は部屋にこもっていましたが、父は僕の右肩位に見えるお酒の並びが父替わりという事で、集合写真を撮りました。前に座っていらっしゃるのが、家の母と、ルネーさんで、ルネーさんはナンシーの叔母さんにあたります。ZMFのオフィシャル・チアリーダーなのですが、何とこの方、元New Jersey Cityの市長。とっても気さくで、とにかく温かいお方なので、気軽に話しかけていたのですが、フェスティバル期間中に知ったこの事実に、「Wow」となりました。

2枚目は、最終日の受講生のコンサート終了後。みんな本当に素晴らしい演奏を聴かせてくれた上に、サプライズがあり、号泣。。。準備の期間にあんなに苦しんだのが嘘のように、心が満たされ、癒されました。

そして、秋田県立大館高等高校同窓会の元宮越校長をはじめとする同窓会の皆様には、この場をお借りして再度御礼申し上げます。フェスティバルのお手伝いを誰にお願いしようかなあと、お願いすることも申し訳ない気持ちがあり、どんより思いながら過ごしていた時に、元宮越校長から直々にお手伝いしますと連絡を頂けた事で、どんなに救われたことか・・・。
ボランティアとしてお手伝いくださった全ての方々に、再度お礼申し上げます。

更にこの大きなフェスティバルは、受講生の参加費、コンサートのチケット代だけでは決して賄えないもので、会場を貸してくださった大館市、そして大館市民文化会館の皆様、更に寄付をしてくださった沢山の方々には心から感謝申し上げます。

ただ、このフェスティバルはその多大な協力があったのにも関わらず、とてつもない大きな赤字となってしまったので、秋田県大館市での開催はしばらくないかなあ、という思いです。

でも、またどこかの場所で実現できることが決まったら、その時はまたよろしくお願いいたします。



その後は、8月に名古屋のプライベート・イベントで水野みどり先生と演奏させて頂き、これまた楽しいひと時でした。ただ、水野先生は僕に気を使って、終いには一人で楽器の積み下ろしをさせてしまう始末・・・水野先生の演奏はもちろんの事、たくましさと(??)、お気遣いにも、改めて感謝してます。先生、ありがとう。

(折角の機会だったのに、手元に写真がありません。。。)



そして9月は京都府民ホール・アルティでの2回公演。アルティはとても好きなホールの一つで、マリンバはとっても良く響いてくれていました。ただ、あまりにもマリンバが響くので、ピアノの位置にはちょっとだけ苦労しましたが、共演者の坂野さんはピアノを弾きながら、位置についても提案があり、そんな坂野さんの感覚の鋭さに改めて脱帽する場面もありました。

音楽家として久しぶりとなる2公演も経験でき、2日とも開催を一からお手伝い下さっていた方々の温かく、熱い想いと、坂野さんのピアノに助けられ、非常に温かい会が出来たと思っています。演奏会って、演奏会当日だけが演奏会ではなく、開催すると決めた時から既に始まっていて、それがすべて音になって行くのだと信じています。音を出しているのは自分ですが、その音は沢山の方の想いを受け継いで、僕の音楽を通して流れていくものだと、改めて感じたひと時でもありました。

しかもピアノの坂野さんは京都ご出身との事で、ソロも一曲お願いしていたのですが、これは凄かった。。。リハーサルを聴かせてもらったのですが、やっぱりソリストとしても坂野さんにしか引き出せない魅力満載な演奏を聴かせて頂き、それを聴かせてもらっただけでも、演奏会をして良かったなあ、なんて思ったりもしていました。聴いた人にしか分からない事なので、どんな感じかはあえて言葉にするのは控えますが、ああいう音を出すピアニスト、僕は他にまだ知りません。って、同じ音を出すピアニストがいたら、それはそれで変か・・・
でも、機会があったら皆さん是非坂野さんのソロを聴いてください。お勧めです。

(そしてこれまた写真を撮り忘れました。。。)



そして日本滞在の最後は、京都市にある法然院の本堂での演奏。これは森田さんという、関西でお紅茶やお料理教室をされている先生が主催されている会で、森田さんのお話と合わせて、それぞれの国の作品を演奏するという会でした。

この会の何が凄かったかって、僕の後ろにいる仏様の大きさです。



と、僕の持っているガラケーではその感動は伝わりにくいのですが、僕がその仏様にお尻を向けながら、でも思いっきり演奏させて頂きました。

法然院というのは一般公開が年に2回だけのようで、しかもその期間はそれぞれ一週間ずつ。

観光客の人があまり出入り出来ない、京都のお寺というのは珍しいのではないでしょうか。やっぱり空気感が僕の知っている京都の他のお寺とは全く違いました。


と、場数はあまり多くはなかったのですが、でも一つ一つがとっても濃いイベントばかりで、かえってそういうスタンスでさせてもらえたことがありがたく、日本滞在の最後の夜は、気持ちいいお酒を沢山飲みながら楽しく凄し、とってもとっても、とっても充実した気持ちでドイツに戻ってきました。



この夏で出逢った人、すべてに感謝します。



さあて、今週の金曜日からはドイツの学校で行われる3日間のミニ・マリンバ・フェスティバル「Marimba Days」です。先日はTryoutとして、人前で生徒が演奏する場を設けましたが、そこではそれぞれが個性豊かに演奏していましたし、そこから生徒自身の中でどう演奏会に気持ちを持っていってくれるのか、更には当日のステージでしか見せない、彼らの新たな一面に出会えそうな気がして、とにかく楽しみです。

僕もリサイタルをします。ただ、自分は先生という権力を使わせてもらい、自分の演奏を初日にして、後は生徒の演奏を楽しむ気持ち満々です。

遠くにいる方もいると思うので、そのプログラムを写真で貼り付けます。(ドイツ語、英語で作られてますが。。。)


もの凄い長い投稿となりましたが、最後までお読み頂きありがとうございます。

それでは、季節の変わり目ですのでご自愛ください。





Tuesday, July 15, 2014

東京公演 そして マリンバ・フェスティバル


ようやくここに戻って来れました。皆さんには、ご無沙汰していて失礼いたしました。

7月12日(土)に、ちょうど3年振りとなる東京公演をさせて頂きました。

まずはご来場いただきました方々、ご来場いただけなくてもこのコンサートの事を思っていて下さった方々、本当にありがとうございました。

昨年の8月に2枚目のCD「種を蒔く人」を出させて頂きましたが、このあたりから僕の何かが開いたように、どんどん、どんどん、やりたい事、創りたい音楽が湧いて出てきて、練習することも、演奏することもとにかく楽しく、降ってくるように脳裏に沸いてくるアイデアも驚くほどにありました。

そんな流れの中から、いよいよ7月22日に大館で初めて行われますマリンバ・フェスティバル「ゼルツマン・マリンバ・フェスティバル・オン・ツアー」の決行、そして今年3月に予定していた新しいCDの為の録音をするアイデアも生まれたわけで、ドイツで、それを実現するべく相変わらずのマイペースで準備を進めていました。

でも、東京公演も含む、それらすべての準備を進めている中で起こる、身の回りの状況の変化で自分の決断したことへの気持ちが揺れ動いたり、不安に押しつぶされそうになったり。。。とにかく、昨年の8月頃に創造的だった自分が嘘のように、崩れ去り、遂には予定していた録音もキャンセルになってしまい、実はとてもでないのですが、東京での公演に関してはどことなく前向きな気持ちになれず、すっきりしない気持ちで正直準備を進めていました。

でも僕の状況を良く把握している方々からの応援、そして不安に押しつぶされそうになりながらも自分の中で沸いていたほんの数パーセントの「大丈夫」という気持ちで7月12日までの数か月を過ごしていたものの、当日の共演者であった坂野伊都子さんとの、浜離宮朝日ホールにおいてのゲネプロから、いきなり「大丈夫」という気持ちが100%で満たされ、この公演に関しても応援して下さっている方々に精いっぱいの演奏を届けなければ、という想いに切り替わったのと、ステージに入った瞬間に感じた、会場のお客様から伝わった本当に温かいエネルギーのお陰で、何の迷いもなく、演奏に臨む事が出来ました。

日本に帰国してから10日以上も経ってはいたのですが、相変わらず時差ボケの症状も出てしまったところがありますが(時差ボケのまま演奏すると必ず出る症状があるんです)、それでも浜離宮朝日ホールという素晴らしいホールで、本当に楽しいひと時を過ごさせて頂きましたし、演奏会後にお話し出来た方々、そしてメッセージを下さった方々には、また元気を頂きました。

チケット代よりも高い交通費を出されて、演奏会にいらっしゃった方も多々いらっしゃいましたし、贈り物までしてくださった方々もいらっしゃいましたが、その方々も含め、本当に、本当に、本当にありがとうございました。(時間を割いてきてくださっただけでも、もう十二分にありがたいのですので、次回からはお心遣いなさいませんように、お願いしますね。)


さて東京公演の次の日からは7月22日から秋田県大館市で始まるマリンバフェスティバルの準備に勤しんでいます。フェスティバルの準備がこんなに大変だったとはつゆ知らず・・・まあ、人間、得意不得意があるのが当たり前で、部屋もろくに綺麗に出来ない自分が、色々な事を取りまとめております。。。でも、これまた本当に沢山の方々のお力添えで、フェスティバルの開催にワクワクしながら、パソコンと、そしてちょっとマリンバと向き合って過ごしています。

ポスターの縮小版がこちらになりますが、チケットの売れ行きが思った以上によろしくないので、宣伝を。。。僕も22日、26日のコンサートで演奏しますが、僕の大切な先生で、このフェスティバルの音楽監督であるナンシー・ゼルツマン氏、元サンフランシスコ交響楽団首席打楽器奏者で、マリンバにその温かいお人柄がよくあらわれる演奏をされるジャック・バン・ギーム氏、僕が18歳の時に衝撃的な出会いをし、僕の中にあるマリンバ熱を更に加熱してくれた世界的なマリンバ奏者の三村奈々恵氏、と4人のゲストの誉田広耶君、岡本麻子ちゃん、井口雅子さん、ピアノの坂野伊都子さん、そして上は北海道、南は関西という日本各地から集まる32名のマリンバ愛好者が5回に渡る演奏会をお届けしますので大館市内の方はもちろんの事、近くの方が是非是非演奏会にいらして頂けたらと思います。






Monday, March 10, 2014

ゼルツマン・マリンバ・フェスティバル・オン・ツアー 参加資格のの改正

皆様いかがお過ごしでしょうか。僕の地元秋田県大館市は、3月中旬にも関わらず、今日も、ものすごい雪が降っております。

お問い合わせが何件かありまして、7月22日から27日までの6日間、秋田県大館市で行われますゼルツマン・マリンバ・フェスティバル・オン・ツアーの参加資格を変更いたしました。

以前までの参加資格では、音楽を専門に勉強されている方、してきた方という風に記載しておりましたが、マリンバが好きで、趣味でマリンバをされている方も参加していただける事になりました。

実はアメリカのメインのフェスティバルにおいて、昨年は趣味でマリンバをされている60歳の方が参加されましたし、今年も数学の先生からのお申し込みがあったとの事でした。

音楽監督のナンシー・ゼルツマン氏はマリンバが好きな方が集まる祭典にしたいとの意向ですので、興味のある方は是非参加をお考え頂ければと思います。

2014年5月15日までの募集ですので、詳しくは
www.OdateMarimba.com

をご覧いただくか、

info@fumitonunoya,.com

にお問い合わせください。



Monday, January 06, 2014

明けまして、おめでとうございます。そして "ZMF On Tour"。

明けまして、おめでとうございます。2014年がいよいよ始まりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。

今年最初のブログも、またまた2つの異なる事を書こうと、欲がむき出しな感じですが、気が向くようでしたらお付き合いください。


2013年は出来るだけ自分らしく、自分の感性のままに正直に生きる事に徹した一年だったように思います。もしかしたらそれまでも音楽をやっているという理由から、周りから見ると恐らくそんな風に生きているように思われていたのかもしれませんが、それまでの自分はそんな風には感じておらず、どこかで枠の中にはまろうと、自分を狭めながら、それでも窮屈を感じ、過ごしていたように思います。そんな中で色々な事を経験し感じ得ていき、「自分に正直に生きていく事に自分で認めていく事を許し始める」が自分のテーマになったのが2013年だったように思います。

ただ、その「枠」いうものから外れていくことで、前まではこれはこう、あれはそうなる、なんていう自分の経験から考え抜いた結果のものなのか、ただ自分が決めつけたのか分からない論理や、一般常識の範囲内で考えなくなっている分、自分の(気まぐれな)気持ちから選択することが多くなり、分からないことだらけになったような気がします。更には、その「枠」から外れていく事で、自分の外では思いもよらないような事が起こったりもしますが、でも家族や心から信頼できる方や友人の温かい想いと助けを得ながら、最終的には自分の奥底に抱いている気持ちを強めて決断していくことで、外からの様々な事にも気持ちを揺らぎすぎることなく、自分に誇りを持って前に進めていけているような気がします。

と、これを書くだけでもう30分が経っています。文章も何だか複雑ですが、僕は大丈夫でしょうか。

まあ、何を言いたいかと言いますと、前よりも生きることが楽しくなっていますし、それに伴って音楽創作活動も、自分に正直に楽しく臨んでいることが多くなりました、という事です。

ということで、この創作活動が楽しくなっているところで、昨年の8月下旬に、僕の恩師であるNancy Zeltsman先生から、アメリカで毎年のように行っているゼルツマン・マリンバ・フェスティバルの縮小版を日本でもやってみたい、というアイデアが自分の中に舞い込んできました。

実は昨年の6月、僕はこのフェスティバルに2週間ほど講師として参加させてもらいましたが、正直、とても過密スケジュールのハードなフェスティバルでした。ですがフェスティバル最中に感じ取れる、参加者と講師の先生方が家族のような雰囲気になる、その連帯感の心地よさはそのハードなフェスティバルでの全ての経験を心地よいものにしてくれたし、是非日本のマリンバ界を担っているマリンバ奏者や若い学生の方々にも感じてもらえたら素晴らしいだろうなあ、と思っていたんです。

そう思っていたら、こんな話がやってくるんですね。このタイミングの良さにはさすがに驚きました。

という訳で、2014年7月22日から27日までの6日間、僕の故郷の秋田県大館市、大館市民文化会館において、ゼルツマン・マリンバ・フェスティバル・オン・ツアー(ZMF On Tour)の日本版が行われることになりました。

フェスティバルのウェブサイトはこちらです。



受講生を20人から30人募りますが、対象は18歳以上で、専門学校、短大、大学などでマリンバを専門的に勉強している方、勉強した方となっております。フェスティバル中に行われるマスタークラスやレッスンは、テクニック的な事や音楽的な事から音楽家として生きていく事まで、様々なテーマを深く掘り下げて話していくと思われるために、そのような基準を設けております。

また、今回のフェスティバルはかなりの大きな規模のもので、受講料や、演奏会のチケット販売だけでは賄いきれないと予想しており、企業や個人様からの寄付金という形でのご協力も頂きながら、赤字を出さないように賄いたいと思っております。もしこのブログを読んで、「協力してもいい」と思われる方がいらっしゃいましたら、こちらのページをご覧ください。こちらには、寄付金のお申し込み方法や、頂ける寄付金に対してのお礼の詳細も記しております。




来年はこの「ZMF On Tour」の他にも、録音やドイツ、日本での演奏会とまだまだ楽しい事があり、非常に楽しみな一年となりそうです。

それでは、皆様にとって創造性豊かで沢山の幸せが舞い降りる一年となりますよう。
そして今年もどうぞよろしくお願いいたします。