Wednesday, December 30, 2020

Gary Burton

 こんなことがあっていいのでしょうか。。。


今朝目が覚めて、携帯のメールをチェックしたら、とんでもない方からメールが来ていたんです。。。


そのメールの差出人は、Gary Burton氏。


ビブラフォン奏者として、ビブラフォン・打楽器界はもとより、ジャズ音楽界を牽引されてきた巨匠。更にはアストル・ピアソラがご存命の頃、ビブラフォン奏者として彼と共演し、その彼のCDはまさに僕の宝物。Burton氏は、僕はもちろんの事、沢山の音楽家や聴衆を魅了してきた音楽家で、そんな方からのまさかのメールで、流石に「嘘だろぉ?」と疑いつつ、僕の心臓は長い間鼓動はこれでもかというくらい、鼓動してました。


Burton氏は現在は惜しくも現役を引退されておりますが、これでもかというくらい素晴らしい演奏を残しています。僕のお気に入りの動画は以下です。


・ジャズピアニスト・小曽根真さんと共演した「Afro Blues」
https://www.youtube.com/watch?v=TKA7Jm8BB_w

・ピアソラ5重奏団のメンバーと再共演を果たしたLibertango (最初のBurton氏のソロはしびれます。。。)
https://www.youtube.com/watch?v=Kxtr86zmYbk



何でも、僕のLibertangoの動画を観てくださったとの事で、


「just saw your Libertango arrangement. Excellent! Really enjoyed it. Great tango interpretation and excellent technique. Thanks. Gary Burton」

(ご本人の許可を頂き、メールをそのまま掲載しています。)

日本語訳すると、

「たった今、君のリベルタンゴの演奏を観たよ。素晴らしい!本当に楽しませてもらったよ。素晴らしいタンゴ音楽の解釈と卓越した技量。ありがとう。ゲイリー・バートン」


Excellentの日本語訳はちょっと盛ったところもあるかもしれませんが、僕のこの動画(https://www.youtube.com/watch?v=8YACtMqNdU4)を見て、こんな風に感じて頂き、更に僕のホームページでEmailアドレスを確認しメッセージまで送ってくださいました。


誕生日と、クリスマスと、お年玉がいっぺんに届いた感じです。


今年は本当に色々とあり、長らく大変な時期が続きましたが、これでよい年末を送れそうです。



いよいよ、大晦日になりますが、皆様におかれましてもより年末年始でありますように。そして2021年は皆様におかれましても健康で、更に希望の満ち溢れた一年となってくれますよう、ドイツからお祈り申し上げます。








Tuesday, December 29, 2020

音の形

何とも不思議な感覚で時間が進んでいった2020年も、後残すところ数日となりました。今年は外出することがぐんと減ったためか、クリスマスの感覚はもちろんの事、年の瀬であることすら肌で感じにくい年末を過ごしています。

皆様はどんな年末をお過ごしでしょうか?


今年はどんな一年だったのか、振り返る意味も込めてブログに何か書こうと、ここ数日、いや実は数週間、お題を頭の中でぐるぐるとさせていたのですが、このタイトルが閃いたと同時に、アメリカに住んでいた頃に僕が非常にお世話になった方が今年の春に天国に召されてしまった事が結びつき、今日はその方(Sさん)への想いを綴る意味でも、その事を軸に書いてみようと思います。


Sさんとの初めての出会いは、僕がまだボストン音楽院で学んでいた頃、先輩の誘いで参加した日本人コーラスによる演奏会に、合唱隊として賛助出演した時でした。僕からは(大分!?)人生の先輩にあたる方でしたし、その時はお話することも無かったのですが、それからも何度かそのコーラス団体の演奏会に合唱隊、そしてマリンバ奏者として出演させて頂くうちに、自然とSさんと仲良くさせて頂くようになりました。


当時は今よりも、大分感覚だけで演奏していた自分ではありますが、僕の演奏会に来ていただいた際に、Sさんから頂く僕の演奏の感想、演奏会で取り上げた曲の感想を伺う度に、目から鱗とでもいうのでしょうか、常に発見ばかりで、Sさんは音楽を本格的に勉強された方ではないと仰っていたのに、音楽から感じ、それを僕のようなものにも分かりやすく、ご自身の経験などを交えて言葉で説明できる教養力の深さには、宇宙のようなものすら感じていました。


そんなSさんから、面白い本があるよ、と一度本をお借りたことがありました。それは日本のクラシック音楽界、音楽教育を牽引してこられた斎藤秀雄氏の本でした。その本の初めから最後まで、どこを読んでも学ぶことだらけで、感覚だけで感じていた僕にとっては、音楽表現の色々を僕のようなものにも分かりやすく言葉にされている事にも斎藤秀雄氏の偉大さ感じましたが、その本の中でも一番強く印象に残っている項目が、音を形にして、図で表している講義のものでした。


本を読んで既に10年以上の時が経つので、実際にどのアーティキュレーション(発音)の音がそこに書かれていたのかは明確に思い出せないのですが、スタッカートの音、テヌートの音、スフォルツァンドの音などだったと思います。それらの音の発音の仕方にも種類があって、音を形にするとこんな感じになります、という項目を読んだ時に、「ビビビ」と感じるものがありました。


(っていうか、「ビビビ」って死語ですかねえ。。。)


その本との出会いで、僕が今でも音楽に取り組む際に一番大切に想っている「歌う事」をより深く考えるきっかけにもなり、本来、マリンバの音はマレットで音板を打った瞬間に消えてゆくので、どんな発音の音を演奏したとしても、実際に聴こえてくる音の形はこんな感じになると思うのですが、




今となっては、音をつなげようと、そして歌うように意識を持ってマリンバを演奏している奏者の音の形は、この上の図だけでない、様々な形が複雑にうねるようにマリンバの音が聴こえるようになりました。


歌う事の大切さというのは、これまで師事してきた先生方から教わったことの中でも一番大切なものでしたが、その歌う事を更に深いレベルで考えるきっかけになったのは、この本との出会い、そしてSさんとの出会いがきっかけだった事は間違いありません。


僕がボストンにいた頃は、友人のように接して下さり、音楽家として、自分自身を見失いそうになった時に、何度も心に響くお言葉をくださったSさん。本当に心の大きな方でした。僕がドイツに渡ってからは、自分の忙しさにかまけて連絡を頻繁に取らなくなっていったことを悔やみます。


早くコロナの状況が良くなり、僕の想うSさんのイメージに合ったお花を捧げられる日が来ることを願いながら、また今日も練習したいと思います。