僕がドイツに戻ってきてから2週間がたちましたが、こちらはすっかり秋です。僕はとてつもない田舎の村のようなところに住んでいまして、家の側に森があるのですが、その森も色付き始め、紅葉のシーズンが到来していることを感じております。
ただ、花粉症の症状で凄いことになっちゃうので、その森を散歩してみたり、ジョギングしたり出来ず、更には近づくことすら許されません。
さてさて、7月12日の東京公演からすっかりご無沙汰してしまいましたが、ここに来て夏の思い出を語りたい気持ちになったので、気ままに綴ろうと思います。
まずは、7月22日から27日まで秋田県大館市で開催した、ゼルツマン・マリンバ・フェスティバル・オン・ツアー・ジャパン。
これは前回のブログでも触れましたが、本当に本当に準備が大変でした。特に昨年の暮れの頃から、受講生が集まるかどうか、そして経済的な面でやりくりできるのかどうかの不安に加え、このフェスティバルを開催することにより、自分の身の回りの事が大きく動いたりすることで、気持ちが大きく動揺し、楽器に向かう事も出来なかったり、ちょっとだけ投げ出したくなったりしていました。
家族にも相当の負担になっていたみたいで、母も調子が悪い日が続いていたり。。。本当に申し訳なく思いながら、開催までの日を過ごしていました。
でも、講師のナンシー、ジャック、マイク、奈々さん、そしてスタッフ・通訳の華さん、誉田君、麻子さま雅子さまが大館に到着し、そして受講生が大館に到着し、フェスティバル開催日初日から、不安や動揺した気持ちが一気になくなっていくのが分かりました。それは母も同じだったと言っています。ゼルツマン・マリンバ・フェスティバル(Zeltsman Marimba Festival)は略してZMFとなるのですが、その「F」は「Family」の「F」だと数年前にナンシーに言ったことがあります。またしてもそのゼルツマン・マリンバ・ファミリーに救われた感じです。
フェスティバルは本当に本当に楽しく、フェスティバル期間中の交流会は1時間半で予定していたのに、気が付けば3時間もみんなと一緒にわいわいし、最終日のパーティーは予定していた終了時間を大幅に過ぎて、ホテルの方に「そろそろバーを閉めたいのですが・・・」と言われて気が付けば23時半。最後の最後まで別れを惜しんだ、ゼルツマン・マリンバ・
ファミリー・オン・ツアー・ジャパンとなりました。
講師や、スタッフのサポートには本当に感謝していますし、受講を決断してくれた受講生の皆さんには、心から感謝するとともに、新しい出会いにも感謝です。
1枚目は、フェスティバル最終日の午前中、講師とスタッフは時間があったので、狭い我が家に来てくれた時の写真です。父は恥ずかしがり屋なので、みんなが来てくれた時は部屋にこもっていましたが、父は僕の右肩位に見えるお酒の並びが父替わりという事で、集合写真を撮りました。前に座っていらっしゃるのが、家の母と、ルネーさんで、ルネーさんはナンシーの叔母さんにあたります。ZMFのオフィシャル・チアリーダーなのですが、何とこの方、元New Jersey Cityの市長。とっても気さくで、とにかく温かいお方なので、気軽に話しかけていたのですが、フェスティバル期間中に知ったこの事実に、「Wow」となりました。
2枚目は、最終日の受講生のコンサート終了後。みんな本当に素晴らしい演奏を聴かせてくれた上に、サプライズがあり、号泣。。。準備の期間にあんなに苦しんだのが嘘のように、心が満たされ、癒されました。
そして、秋田県立大館高等高校同窓会の元宮越校長をはじめとする同窓会の皆様には、この場をお借りして再度御礼申し上げます。フェスティバルのお手伝いを誰にお願いしようかなあと、お願いすることも申し訳ない気持ちがあり、どんより思いながら過ごしていた時に、元宮越校長から直々にお手伝いしますと連絡を頂けた事で、どんなに救われたことか・・・。
ボランティアとしてお手伝いくださった全ての方々に、再度お礼申し上げます。
更にこの大きなフェスティバルは、受講生の参加費、コンサートのチケット代だけでは決して賄えないもので、会場を貸してくださった大館市、そして大館市民文化会館の皆様、更に寄付をしてくださった沢山の方々には心から感謝申し上げます。
ただ、このフェスティバルはその多大な協力があったのにも関わらず、とてつもない大きな赤字となってしまったので、秋田県大館市での開催はしばらくないかなあ、という思いです。
でも、またどこかの場所で実現できることが決まったら、その時はまたよろしくお願いいたします。
その後は、8月に名古屋のプライベート・イベントで水野みどり先生と演奏させて頂き、これまた楽しいひと時でした。ただ、水野先生は僕に気を使って、終いには一人で楽器の積み下ろしをさせてしまう始末・・・水野先生の演奏はもちろんの事、たくましさと(??)、お気遣いにも、改めて感謝してます。先生、ありがとう。
(折角の機会だったのに、手元に写真がありません。。。)
そして9月は京都府民ホール・アルティでの2回公演。アルティはとても好きなホールの一つで、マリンバはとっても良く響いてくれていました。ただ、あまりにもマリンバが響くので、ピアノの位置にはちょっとだけ苦労しましたが、共演者の坂野さんはピアノを弾きながら、位置についても提案があり、そんな坂野さんの感覚の鋭さに改めて脱帽する場面もありました。
音楽家として久しぶりとなる2公演も経験でき、2日とも開催を一からお手伝い下さっていた方々の温かく、熱い想いと、坂野さんのピアノに助けられ、非常に温かい会が出来たと思っています。演奏会って、演奏会当日だけが演奏会ではなく、開催すると決めた時から既に始まっていて、それがすべて音になって行くのだと信じています。音を出しているのは自分ですが、その音は沢山の方の想いを受け継いで、僕の音楽を通して流れていくものだと、改めて感じたひと時でもありました。
しかもピアノの坂野さんは京都ご出身との事で、ソロも一曲お願いしていたのですが、これは凄かった。。。リハーサルを聴かせてもらったのですが、やっぱりソリストとしても坂野さんにしか引き出せない魅力満載な演奏を聴かせて頂き、それを聴かせてもらっただけでも、演奏会をして良かったなあ、なんて思ったりもしていました。聴いた人にしか分からない事なので、どんな感じかはあえて言葉にするのは控えますが、ああいう音を出すピアニスト、僕は他にまだ知りません。って、同じ音を出すピアニストがいたら、それはそれで変か・・・
でも、機会があったら皆さん是非坂野さんのソロを聴いてください。お勧めです。
(そしてこれまた写真を撮り忘れました。。。)
そして日本滞在の最後は、京都市にある法然院の本堂での演奏。これは森田さんという、関西でお紅茶やお料理教室をされている先生が主催されている会で、森田さんのお話と合わせて、それぞれの国の作品を演奏するという会でした。
この会の何が凄かったかって、僕の後ろにいる仏様の大きさです。
と、僕の持っているガラケーではその感動は伝わりにくいのですが、僕がその仏様にお尻を向けながら、でも思いっきり演奏させて頂きました。
法然院というのは一般公開が年に2回だけのようで、しかもその期間はそれぞれ一週間ずつ。
観光客の人があまり出入り出来ない、京都のお寺というのは珍しいのではないでしょうか。やっぱり空気感が僕の知っている京都の他のお寺とは全く違いました。
と、場数はあまり多くはなかったのですが、でも一つ一つがとっても濃いイベントばかりで、かえってそういうスタンスでさせてもらえたことがありがたく、日本滞在の最後の夜は、気持ちいいお酒を沢山飲みながら楽しく凄し、とってもとっても、とっても充実した気持ちでドイツに戻ってきました。
この夏で出逢った人、すべてに感謝します。
さあて、今週の金曜日からはドイツの学校で行われる3日間のミニ・マリンバ・フェスティバル「Marimba Days」です。先日はTryoutとして、人前で生徒が演奏する場を設けましたが、そこではそれぞれが個性豊かに演奏していましたし、そこから生徒自身の中でどう演奏会に気持ちを持っていってくれるのか、更には当日のステージでしか見せない、彼らの新たな一面に出会えそうな気がして、とにかく楽しみです。
僕もリサイタルをします。ただ、自分は先生という権力を使わせてもらい、自分の演奏を初日にして、後は生徒の演奏を楽しむ気持ち満々です。
遠くにいる方もいると思うので、そのプログラムを写真で貼り付けます。(ドイツ語、英語で作られてますが。。。)
もの凄い長い投稿となりましたが、最後までお読み頂きありがとうございます。
それでは、季節の変わり目ですのでご自愛ください。